vol.23 行政書士という仕事
- 2007-10-09(Tue)
- はたらき方
- Comment(0)
- Trackback(0)
たとえ失敗してもやりたいことは自分で決めてやりたい!
強い意志で初志貫徹した行政書士の話
【インタビュー】
溝口 隆幸
さて、久しぶりの取材となった今回は、スタッフAと同じ会社で働くTさんのご紹介で、行政書士の溝口隆幸さんの登場です。数年前に「カバチタレ」というドラマで主人公の職業が行政書士だったことから、知名度がアップした職業ですけど、その中身って・・・???スタッフAも実はよくわからないこのお仕事、まずは溝口さんにわかりやすく、丁寧に説明していただきました。それでは行政書士のお仕事って何なの?というところからスタートです!!
─田舎の何でも相談できるお医者さんが行政書士で、逆に弁護士というのは都会のお医者さん─
■「行政書士」というお仕事なんですが、その名前は知っていても、実際にはどんな仕事をしているのって聞かれると私自身もわからなくて。行政書士ってどんな仕事をされるんですか?
溝口:ほとんどの方が「司法書士」と「行政書士」の違いについてよくわかっていらっしゃらないと思います。というのも行政書士というのは仕事がたくさんあるんですよ。
例えば税理士さんなら税務申告関係を扱います。社会保険労務士さんなら労働保険や社会保険など、それぞれ専門性があるんですけれど、行政書士については専門性があってないようなものなんです。相談の内容によって行政書士の仕事も異なるので、余計に何をやっているのかわかりづらいんだと思います。
昔は資格って3つしかなかったんですよ。一つは「代言人」というもので代わりに話をする人、今で言うと弁護士になりますね。もう一つは「代書人」といって代わりに書面を書いてあげる人、そして「公証人」の3つだったんです。
なかでも「代書人」という仕事がそれぞれ専門性を持つようになって、司法書士になり、税理士になり、社労士になりと分かれていき、その人たちが扱わない仕事をまとめてやっているのが行政書士なんです。だから行政書士に専門性がないのも当然のことなんですよ。

■なるほど。そう言われると行政書士の仕事って幅広いのも納得できます。言葉は悪いですけれど「何でも屋さん」的なところがありますね。
溝口:ただ「何でも屋さん」と言ってしまうと、逆に何を頼んでいいのかわからなくなるので、いろいろある仕事の中からそれぞれが専門性を見つけて、強みやできることをアピールしながら仕事を受けていくんですね。
いろいろある仕事の中で行政書士の誰もが扱う仕事として、「許認可申請業務」と「予防法務」というのがあります。
前者は、役所に対して許可や認可をもらいに行く仕事であり、行政書士なら何らかの形でこの仕事に携わっています。後者は、何か事件やトラブルが起こったときに解決するのが弁護士の仕事ですが、事件が起きないように予防しておく、それが「予防法務」と呼ばれる仕事です。
例えば、お金の貸し借りによるトラブルってよくあるんですが、どうしてもめるかというと、貸し借りの場で書面を作っておかないからなんです。口約束だと後でいろいろと問題になることがありますけど、書面にしておけばそういった争いは起きないですよね。それならその書面は行政書士が作りましょうと。それで後々のトラブルを予防しましょう、と。つまりそれが「予防法務」であり、行政書士の役割なんです。
■具体的に行政書士が携わるケースを伺うと、よくわかりますね。
溝口:イメージしやすいたとえなら、田舎の何でも相談できるお医者さんが行政書士で、逆に弁護士というのは都会のお医者さんで、大学病院とか専門分野を持ったお医者さん。田舎に行けば行くほど一人のお医者さんに何でも相談するでしょ。

─言われたことに対して動くということが、性に合ってないんですね。自分で決めて、自分のやりたいことをやっていきたい─
■あぁ、なるほど!今の説明ですごくよくわかりました。それでは行政書士のお仕事を踏まえて話を伺っていきたいのですが、溝口さんは最初から行政書士を目指そうとしていたわけですか?
溝口:高校3年生ぐらいの時に、将来は法律の資格を取って、独立して、食べていこうと考えていたんです。というのも、私は母子家庭だったので何かのコネがあるわけでもなく、経済的にも裕福というわけではなく、体力にもそれほど自信があったわけではなかったので、自分が稼ぐなら頭を使うしかないと思ったんです。そこで頭を使って稼げる資格って何だろうといろいろ調べてみて、その結果法律系の資格が自分に合っているんじゃないかなって。
■法律系の資格といっても行政書士以外にもあるわけですが、どうして行政書士を?
溝口:もともとは弁護士を目指して大学に入って、司法試験の勉強をしていたんです。その中で行政書士の資格も取得したんですけれど。
司法書士や税理士というのは仕事がある程度決まっているんですよ。司法書士なら登記申請書を作成するし、税理士なら税金関係ですね。でもやることが決まっていたら楽しくないと。同じ仕事を毎日毎日繰り返すのは嫌だったんですよ。いろんな所を飛び回って、いろんな仕事ができる法律系の仕事というと、弁護士か行政書士ということになるんで、それで最終的に現在の行政書士ということになったんです。
■お家の環境があったにせよ、若いうちから将来的なビジョンをお持ちだったんですね。
溝口:なんとなくですけどね(笑)。基本的に人に雇われるのがイヤで(笑)。性格的なものかな、B型というね(笑)。
言われたことに対して動くということが、性に合ってないんですね。自分で決めて、自分のやりたいことをやっていきたい。ただ、雇われていても自分が自由にやらせてもらえる仕事なら問題ないんですね。でもやりたくない仕事はやりたくないし、人に言われたことだけをやるのはイヤだから、普通の会社に勤める気は最初からなかったんです。

─その時その時でやりたいことをやっているだけで、今は2つのことがやりたいから、行政書士の開業とそれを教える講師の仕事をやっているというだけなんです─
■では当時から、将来は独立できるような仕事をということを考えていらっしゃったんですね。
溝口:それは高3の時からずっとですね。ただ、すぐに現在の行政書士の仕事を始めたわけではないんですよ。
大学の時、資格を取得しようと一人勉強してしたんです。そしたら友人たちがいろいろと聞いてくるんですよ。そうやっていろいろと教えているうちに法律を教えることが好きになって。「教える仕事もいいかなぁ」と思うようになったんです。そこで大学を卒業してから、法律など資格取得の講座を提供しているような会社に入り、正社員として教えていました。
■それでは最初は会社勤めをされていたんですか。会社勤めと言っても自分が講師として教えるという意味で自由にやれる仕事ではありますね。実際に会社に入ってみていかがでしたか?
溝口:楽しかったですよ。行政書士以外にも宅建とかマンション管理士とかもありましたし。それらも法律が関係してくるんでね。
でもね、講師の仕事をしていると教えること以外に相談が多いんですよ。自分の悩み事とか、実務的なこととかについて相談に乗ってくださいと。
受講生の方から勉強以外のことで相談を受けることが多くて、話を聞いてあげていたんですが、当時は事務所を構えているわけでなく、一社員であったので、相談に乗るまでしかできないんです。書類を作ってあげたり、役所に行ったりというところまではできない。それをできるようにしたいなと思うようになって、それで最終的に会社を辞めて事務所を構えることにしたんです。ただ教えるという講師の仕事は好きだったんで、それは今でも続けています。
■なるほど。講師業を挟んで、最終的には大学時代に考えていた弁護士か行政書士という仕事に就こうという最初の目指していた道に戻ったわけですね。
溝口:広い法律の世界の中でウロチョロしているだけで(笑)。その時その時でやりたいことをやっているだけで、今は2つのことがやりたいから、行政書士の開業とそれを教える講師の仕事をやっているというだけなんですよ。
■いくら楽しいとはいえ、事務所でのお仕事も忙しいと思いますが、加えて講師の仕事となると、大変なんじゃないですか?
溝口:大変なのは大変ですよ。しかしやっていることは楽しいので、しんどいけれどやり甲斐があるので、しんどい部分は耐えられますよ。イヤだと思うことはないですね。そりゃ、朝起きてしんどいなぁと思うことはありますよ(笑)。でも、この仕事を辞めたいと思ったことは1度もありませんね。なので、両方とも一生続けていくんだろうなと思っています。
■そこまで思える仕事に出会うのって、それも難しいことだと思うんですが。どうやったらそういった仕事に出会うことができるんでしょうね。
溝口:「勇気」を持つことでしょうね。失敗してもいいからやりたいことをやる。失敗を恐れて、我慢しても安定している方がいいやと思っちゃうと、やりたいことができなくなる。一生に一度の人生なんだから、やりたいことをやって、失敗してもまた次に進めばいいと思ってやらないと、なかなかそんな仕事に巡り会わないんじゃないでしょうか。
ただ「やりたい」という気持ちだけでは無理だと思いますね。それにたどり着くまでの努力は必要ですし。その努力をしてまでもやりたいことがあるんだったら、すべてを捨てでもそこに向かう「勇気」がないとね。

─知らない世界に入っていて覚えるということは、どこでもいっしょなんですよ─
■資格取得のために知識の習得はされたと思いますが、実際にはいろんな相談のケースがあるわけですよね?そういった実務的なノウハウというのは、どのようにされたんですか?
溝口:実地経験ですね。例えば、自分の知らない分野のことを言われたとしても、「今は忙しいので2日ほど待ってください」とお願いして、その間に必死に勉強してね(笑)。そうやって覚えていきました。
というのも、その人その人によって事情が異なるので、たとえ勉強していても事情が異なれば対応しきれないこともあり、そうなるとそのケースごとに覚えていくしかないんですね。だから最初の1、2年はとにかく覚えることばかりでしたから大変でした。
■そんなこと聞いたことないよ、というようなケースも多かったでしょうね(苦笑)。
溝口:逆にお客さんの方がそのことに精通している場合もあるんです。お客さんは自分のことですから予めいろいろ調べていたりして。それが特異なケースだとこっちも調べないと対応できないですからね。行政書士の場合は扱う分野が幅広すぎて、こんなことはやったことがないということが珍しくないですし、これは僕の仕事かな?と思うようなものもありますから。
ただ私の場合、講師業をしていたときに、いろいろな相談に乗って様々なケースを体験していたので、比較的対応しやすかったんだと思います。
■行政書士の仕事に就くまでの講師業というのはちょっと遠回りしたのかな?と思いましたが、こうやってみると逆に講師業がプラスに働いていたわけですね。
溝口:そうですね。生徒さんが相談に来てわからないことがあれば調べたり、役所に行って聞いてきたりして。そうやって覚えたことはたくさんあります。それが役に立っていたりね。しかしこれは普通の会社でも同じことで、知らない世界に入っていて覚えるということは、どこでもいっしょなんですよ。ただ会社であれば、先輩や上司がいろいろと教えてくれるけれど、独立開業だとそれがいない。しかし、先輩や同業の仲間に聞けばいろいろと教えてくれるし、役所に聞いても教えてくれますから、一人で悩んで抱えるなんてことはありません。
相談のケースによっては、みんなで手分けしてする仕事もあるんです。どうしてもできないことであれば、他の人にお任せして。お客さんを任せ合うという関係もあるんですよ。自分の生徒さんが行政書士や税理士となって開業することもあるので、そういった人脈でお客さんの仕事を手分けすることもあります。人脈は大事です(笑)。人づてにお客さんを紹介されるケースも多いですしね。
会社にいれば安定した収入があって、安定はあるけれど自由は少ない。開業すれば自由はあふれるけれど安定はないので、そのあたりの努力だけは常にやっておかなくてはならないですね。
僕の優先順位は「自由」が一番であること。やりたいことをやりたいから、それをやるには開業しかないんですよ。

─“仕事”とは、「生きていくことの楽しみ」─
■やりたいことがあってもなかなかやれない。いろんな事情があるんでしょうけれど、やりたいけどやれないと思ってやらないのはすごくもったいないような、歯がゆいような想いになりますね。
溝口:僕から見れば、やりたいのにやれないというのは、そこまでやりたいことではなかったんだろうなって思いますね。本気でやりたかったら、やるだろうし。「ちょっとやってみたいなぁ」、というのはよくあると思うんですよ。隣の芝生は青いというように。ただ、他のことをやりたいなというのは誰でも言えることなので、その程度では本気でやりたいことをやるのはできないんだろうなと思います。本気で人生をかけようと思うことが見つかれば、やるんじゃないかな。
それを見つけるのは「努力」と「運」でしょうね。常に、何でも知ってやろうという気構えがないと、チャンスがあっても見過ごしてしまうだろうし、視野が狭ければ他に面白いことがあっても気づかないだろうし。常に360度見ておかないと。
だから今も、もっと他に向いていることがあるんじゃないかって思ってますよ。資格にしても行政書士のような法律系だけじゃなく、もっと興味を持てるものがあるかもしれませんし。何にでも興味を持ってみようと思っています。知的好奇心が強いから、何でも知っておきたいという気持ちが強いんですね。
やっぱり1度きりの人生だから、やりたいことはやっておきたいと。やらないで後で後悔するより、やって後悔するのとでは、後者の方がいいと思うんでね。
僕自身、社会人になるまではいろいろと失敗もしてきたし、どちらかというと恵まれた環境ではなかったから、チャレンジしては失敗して、を繰り返したけど失敗を重ねればもう怖いものはないと思うようになりました。雑草のような逞しさですね(笑)
■それでは、溝口さんにとって“仕事”とはなんでしょう?
溝口:「生きていくことの楽しみ」かな。或いは「生きる目的」。やらされてやっているわけではなく、好きでやっていることなので、今これをとってしまったら生きる意味がなくなってしまう。だから仕事が生きる目的になっているのかな。
もし、経済的に余裕があって仕事をしなくても生きていけるとしても、この仕事をして働いているでしょうね。やりたいことであり、そして好きなことであり、楽しんでやっていることなので、たとえお金があっても続けているでしょうね。
ただ僕自身は「働くこと=お金を稼ぐこと」というのが根底にあるんですよ。お金に苦労して生活してきましたから。だからお金を稼ぐのが仕事だという想いはあります。お金を稼ぐことは最低限のことであり、その上に楽しみがあるのが仕事だと思っています。

(取材後記)
さすがに講師の仕事もされているせいか、溝口さんのお話はとても丁寧でわかりやすく、行政書士についてほとんどわからなかった私も、よく理解できました。「行政書士というのは田舎の何でも相談できるお医者さん」と仰るように、気軽に私たちが相談できるのが行政書士の方なんですね。しかし、影でいろいろと努力される姿は見せずに、「仕事が楽しい」って言い切れる溝口さんを前にすると、まだまだ自分には足りないものが多いんだなと改めて思った取材だったのでした。
溝口隆幸行政書士事務所
〒558-0011
大阪市住吉区苅田8-12-27-302
TEL&FAX 06-6697-0872
強い意志で初志貫徹した行政書士の話
【インタビュー】
溝口 隆幸
さて、久しぶりの取材となった今回は、スタッフAと同じ会社で働くTさんのご紹介で、行政書士の溝口隆幸さんの登場です。数年前に「カバチタレ」というドラマで主人公の職業が行政書士だったことから、知名度がアップした職業ですけど、その中身って・・・???スタッフAも実はよくわからないこのお仕事、まずは溝口さんにわかりやすく、丁寧に説明していただきました。それでは行政書士のお仕事って何なの?というところからスタートです!!
─田舎の何でも相談できるお医者さんが行政書士で、逆に弁護士というのは都会のお医者さん─
■「行政書士」というお仕事なんですが、その名前は知っていても、実際にはどんな仕事をしているのって聞かれると私自身もわからなくて。行政書士ってどんな仕事をされるんですか?
溝口:ほとんどの方が「司法書士」と「行政書士」の違いについてよくわかっていらっしゃらないと思います。というのも行政書士というのは仕事がたくさんあるんですよ。
例えば税理士さんなら税務申告関係を扱います。社会保険労務士さんなら労働保険や社会保険など、それぞれ専門性があるんですけれど、行政書士については専門性があってないようなものなんです。相談の内容によって行政書士の仕事も異なるので、余計に何をやっているのかわかりづらいんだと思います。
昔は資格って3つしかなかったんですよ。一つは「代言人」というもので代わりに話をする人、今で言うと弁護士になりますね。もう一つは「代書人」といって代わりに書面を書いてあげる人、そして「公証人」の3つだったんです。
なかでも「代書人」という仕事がそれぞれ専門性を持つようになって、司法書士になり、税理士になり、社労士になりと分かれていき、その人たちが扱わない仕事をまとめてやっているのが行政書士なんです。だから行政書士に専門性がないのも当然のことなんですよ。

■なるほど。そう言われると行政書士の仕事って幅広いのも納得できます。言葉は悪いですけれど「何でも屋さん」的なところがありますね。
溝口:ただ「何でも屋さん」と言ってしまうと、逆に何を頼んでいいのかわからなくなるので、いろいろある仕事の中からそれぞれが専門性を見つけて、強みやできることをアピールしながら仕事を受けていくんですね。
いろいろある仕事の中で行政書士の誰もが扱う仕事として、「許認可申請業務」と「予防法務」というのがあります。
前者は、役所に対して許可や認可をもらいに行く仕事であり、行政書士なら何らかの形でこの仕事に携わっています。後者は、何か事件やトラブルが起こったときに解決するのが弁護士の仕事ですが、事件が起きないように予防しておく、それが「予防法務」と呼ばれる仕事です。
例えば、お金の貸し借りによるトラブルってよくあるんですが、どうしてもめるかというと、貸し借りの場で書面を作っておかないからなんです。口約束だと後でいろいろと問題になることがありますけど、書面にしておけばそういった争いは起きないですよね。それならその書面は行政書士が作りましょうと。それで後々のトラブルを予防しましょう、と。つまりそれが「予防法務」であり、行政書士の役割なんです。
■具体的に行政書士が携わるケースを伺うと、よくわかりますね。
溝口:イメージしやすいたとえなら、田舎の何でも相談できるお医者さんが行政書士で、逆に弁護士というのは都会のお医者さんで、大学病院とか専門分野を持ったお医者さん。田舎に行けば行くほど一人のお医者さんに何でも相談するでしょ。

─言われたことに対して動くということが、性に合ってないんですね。自分で決めて、自分のやりたいことをやっていきたい─
■あぁ、なるほど!今の説明ですごくよくわかりました。それでは行政書士のお仕事を踏まえて話を伺っていきたいのですが、溝口さんは最初から行政書士を目指そうとしていたわけですか?
溝口:高校3年生ぐらいの時に、将来は法律の資格を取って、独立して、食べていこうと考えていたんです。というのも、私は母子家庭だったので何かのコネがあるわけでもなく、経済的にも裕福というわけではなく、体力にもそれほど自信があったわけではなかったので、自分が稼ぐなら頭を使うしかないと思ったんです。そこで頭を使って稼げる資格って何だろうといろいろ調べてみて、その結果法律系の資格が自分に合っているんじゃないかなって。
■法律系の資格といっても行政書士以外にもあるわけですが、どうして行政書士を?
溝口:もともとは弁護士を目指して大学に入って、司法試験の勉強をしていたんです。その中で行政書士の資格も取得したんですけれど。
司法書士や税理士というのは仕事がある程度決まっているんですよ。司法書士なら登記申請書を作成するし、税理士なら税金関係ですね。でもやることが決まっていたら楽しくないと。同じ仕事を毎日毎日繰り返すのは嫌だったんですよ。いろんな所を飛び回って、いろんな仕事ができる法律系の仕事というと、弁護士か行政書士ということになるんで、それで最終的に現在の行政書士ということになったんです。
■お家の環境があったにせよ、若いうちから将来的なビジョンをお持ちだったんですね。
溝口:なんとなくですけどね(笑)。基本的に人に雇われるのがイヤで(笑)。性格的なものかな、B型というね(笑)。
言われたことに対して動くということが、性に合ってないんですね。自分で決めて、自分のやりたいことをやっていきたい。ただ、雇われていても自分が自由にやらせてもらえる仕事なら問題ないんですね。でもやりたくない仕事はやりたくないし、人に言われたことだけをやるのはイヤだから、普通の会社に勤める気は最初からなかったんです。

─その時その時でやりたいことをやっているだけで、今は2つのことがやりたいから、行政書士の開業とそれを教える講師の仕事をやっているというだけなんです─
■では当時から、将来は独立できるような仕事をということを考えていらっしゃったんですね。
溝口:それは高3の時からずっとですね。ただ、すぐに現在の行政書士の仕事を始めたわけではないんですよ。
大学の時、資格を取得しようと一人勉強してしたんです。そしたら友人たちがいろいろと聞いてくるんですよ。そうやっていろいろと教えているうちに法律を教えることが好きになって。「教える仕事もいいかなぁ」と思うようになったんです。そこで大学を卒業してから、法律など資格取得の講座を提供しているような会社に入り、正社員として教えていました。
■それでは最初は会社勤めをされていたんですか。会社勤めと言っても自分が講師として教えるという意味で自由にやれる仕事ではありますね。実際に会社に入ってみていかがでしたか?
溝口:楽しかったですよ。行政書士以外にも宅建とかマンション管理士とかもありましたし。それらも法律が関係してくるんでね。
でもね、講師の仕事をしていると教えること以外に相談が多いんですよ。自分の悩み事とか、実務的なこととかについて相談に乗ってくださいと。
受講生の方から勉強以外のことで相談を受けることが多くて、話を聞いてあげていたんですが、当時は事務所を構えているわけでなく、一社員であったので、相談に乗るまでしかできないんです。書類を作ってあげたり、役所に行ったりというところまではできない。それをできるようにしたいなと思うようになって、それで最終的に会社を辞めて事務所を構えることにしたんです。ただ教えるという講師の仕事は好きだったんで、それは今でも続けています。
■なるほど。講師業を挟んで、最終的には大学時代に考えていた弁護士か行政書士という仕事に就こうという最初の目指していた道に戻ったわけですね。
溝口:広い法律の世界の中でウロチョロしているだけで(笑)。その時その時でやりたいことをやっているだけで、今は2つのことがやりたいから、行政書士の開業とそれを教える講師の仕事をやっているというだけなんですよ。
■いくら楽しいとはいえ、事務所でのお仕事も忙しいと思いますが、加えて講師の仕事となると、大変なんじゃないですか?
溝口:大変なのは大変ですよ。しかしやっていることは楽しいので、しんどいけれどやり甲斐があるので、しんどい部分は耐えられますよ。イヤだと思うことはないですね。そりゃ、朝起きてしんどいなぁと思うことはありますよ(笑)。でも、この仕事を辞めたいと思ったことは1度もありませんね。なので、両方とも一生続けていくんだろうなと思っています。
■そこまで思える仕事に出会うのって、それも難しいことだと思うんですが。どうやったらそういった仕事に出会うことができるんでしょうね。
溝口:「勇気」を持つことでしょうね。失敗してもいいからやりたいことをやる。失敗を恐れて、我慢しても安定している方がいいやと思っちゃうと、やりたいことができなくなる。一生に一度の人生なんだから、やりたいことをやって、失敗してもまた次に進めばいいと思ってやらないと、なかなかそんな仕事に巡り会わないんじゃないでしょうか。
ただ「やりたい」という気持ちだけでは無理だと思いますね。それにたどり着くまでの努力は必要ですし。その努力をしてまでもやりたいことがあるんだったら、すべてを捨てでもそこに向かう「勇気」がないとね。

─知らない世界に入っていて覚えるということは、どこでもいっしょなんですよ─
■資格取得のために知識の習得はされたと思いますが、実際にはいろんな相談のケースがあるわけですよね?そういった実務的なノウハウというのは、どのようにされたんですか?
溝口:実地経験ですね。例えば、自分の知らない分野のことを言われたとしても、「今は忙しいので2日ほど待ってください」とお願いして、その間に必死に勉強してね(笑)。そうやって覚えていきました。
というのも、その人その人によって事情が異なるので、たとえ勉強していても事情が異なれば対応しきれないこともあり、そうなるとそのケースごとに覚えていくしかないんですね。だから最初の1、2年はとにかく覚えることばかりでしたから大変でした。
■そんなこと聞いたことないよ、というようなケースも多かったでしょうね(苦笑)。
溝口:逆にお客さんの方がそのことに精通している場合もあるんです。お客さんは自分のことですから予めいろいろ調べていたりして。それが特異なケースだとこっちも調べないと対応できないですからね。行政書士の場合は扱う分野が幅広すぎて、こんなことはやったことがないということが珍しくないですし、これは僕の仕事かな?と思うようなものもありますから。
ただ私の場合、講師業をしていたときに、いろいろな相談に乗って様々なケースを体験していたので、比較的対応しやすかったんだと思います。
■行政書士の仕事に就くまでの講師業というのはちょっと遠回りしたのかな?と思いましたが、こうやってみると逆に講師業がプラスに働いていたわけですね。
溝口:そうですね。生徒さんが相談に来てわからないことがあれば調べたり、役所に行って聞いてきたりして。そうやって覚えたことはたくさんあります。それが役に立っていたりね。しかしこれは普通の会社でも同じことで、知らない世界に入っていて覚えるということは、どこでもいっしょなんですよ。ただ会社であれば、先輩や上司がいろいろと教えてくれるけれど、独立開業だとそれがいない。しかし、先輩や同業の仲間に聞けばいろいろと教えてくれるし、役所に聞いても教えてくれますから、一人で悩んで抱えるなんてことはありません。
相談のケースによっては、みんなで手分けしてする仕事もあるんです。どうしてもできないことであれば、他の人にお任せして。お客さんを任せ合うという関係もあるんですよ。自分の生徒さんが行政書士や税理士となって開業することもあるので、そういった人脈でお客さんの仕事を手分けすることもあります。人脈は大事です(笑)。人づてにお客さんを紹介されるケースも多いですしね。
会社にいれば安定した収入があって、安定はあるけれど自由は少ない。開業すれば自由はあふれるけれど安定はないので、そのあたりの努力だけは常にやっておかなくてはならないですね。
僕の優先順位は「自由」が一番であること。やりたいことをやりたいから、それをやるには開業しかないんですよ。

─“仕事”とは、「生きていくことの楽しみ」─
■やりたいことがあってもなかなかやれない。いろんな事情があるんでしょうけれど、やりたいけどやれないと思ってやらないのはすごくもったいないような、歯がゆいような想いになりますね。
溝口:僕から見れば、やりたいのにやれないというのは、そこまでやりたいことではなかったんだろうなって思いますね。本気でやりたかったら、やるだろうし。「ちょっとやってみたいなぁ」、というのはよくあると思うんですよ。隣の芝生は青いというように。ただ、他のことをやりたいなというのは誰でも言えることなので、その程度では本気でやりたいことをやるのはできないんだろうなと思います。本気で人生をかけようと思うことが見つかれば、やるんじゃないかな。
それを見つけるのは「努力」と「運」でしょうね。常に、何でも知ってやろうという気構えがないと、チャンスがあっても見過ごしてしまうだろうし、視野が狭ければ他に面白いことがあっても気づかないだろうし。常に360度見ておかないと。
だから今も、もっと他に向いていることがあるんじゃないかって思ってますよ。資格にしても行政書士のような法律系だけじゃなく、もっと興味を持てるものがあるかもしれませんし。何にでも興味を持ってみようと思っています。知的好奇心が強いから、何でも知っておきたいという気持ちが強いんですね。
やっぱり1度きりの人生だから、やりたいことはやっておきたいと。やらないで後で後悔するより、やって後悔するのとでは、後者の方がいいと思うんでね。
僕自身、社会人になるまではいろいろと失敗もしてきたし、どちらかというと恵まれた環境ではなかったから、チャレンジしては失敗して、を繰り返したけど失敗を重ねればもう怖いものはないと思うようになりました。雑草のような逞しさですね(笑)
■それでは、溝口さんにとって“仕事”とはなんでしょう?
溝口:「生きていくことの楽しみ」かな。或いは「生きる目的」。やらされてやっているわけではなく、好きでやっていることなので、今これをとってしまったら生きる意味がなくなってしまう。だから仕事が生きる目的になっているのかな。
もし、経済的に余裕があって仕事をしなくても生きていけるとしても、この仕事をして働いているでしょうね。やりたいことであり、そして好きなことであり、楽しんでやっていることなので、たとえお金があっても続けているでしょうね。
ただ僕自身は「働くこと=お金を稼ぐこと」というのが根底にあるんですよ。お金に苦労して生活してきましたから。だからお金を稼ぐのが仕事だという想いはあります。お金を稼ぐことは最低限のことであり、その上に楽しみがあるのが仕事だと思っています。

(取材後記)
さすがに講師の仕事もされているせいか、溝口さんのお話はとても丁寧でわかりやすく、行政書士についてほとんどわからなかった私も、よく理解できました。「行政書士というのは田舎の何でも相談できるお医者さん」と仰るように、気軽に私たちが相談できるのが行政書士の方なんですね。しかし、影でいろいろと努力される姿は見せずに、「仕事が楽しい」って言い切れる溝口さんを前にすると、まだまだ自分には足りないものが多いんだなと改めて思った取材だったのでした。
溝口隆幸行政書士事務所
〒558-0011
大阪市住吉区苅田8-12-27-302
TEL&FAX 06-6697-0872


Comment