夜の対談 コピーライター編
- 2007-11-12(Mon)
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今回は、コピーライターS.Oさんとの対談をお届けします。S.Oさんは、かつていっしょに働いていた仲間なんですが、実は当時の仕事と全く異なる仕事へ転職したんです。久しぶりの再会に、美味しい食事と美味しいお酒を囲んで、仕事談義に花を咲かせたのでした。
スタッフA:一緒に会社で働いていたときは部署が違っていたのであんまり話す機会がなかったんだけれど、転職するって聞いたときは驚いたし、しかもコピーライターになるって聞いてもっと驚いたんですよ。「えーっ、制作に興味があったの?」って。S.Oさんはどんな経緯で会社に入ったんですか?
S.O:大学で就職活動していたときは内定をもらっていた会社(デザイン事務所)があったんです。11月ぐらいに内定をもらったんですけど、その企業からアルバイトでいいからすぐに来てくれって言われてアルバイトに行っていたんですけど・・・。でも、ホンネは内定が決まるまで長いこと苦労したし、ようやく決まったからちょっとホッとしていたいなと思っていたんです。
しかし内定先の会社からはすぐに来いって言われるし。そしてアルバイトに行ったら行ったで、要領もよくわからないし、何をしたらいいのかわからないし。混乱した状態でどうしたらよいのか自分でもわからなくなってしまって。。。
自分がやりたいと思って入った会社の仕事なのに、この時点で行きたくないっていう想いがすごく強くなったんですよ。上司から「これを考えきて」と、仕事を渡されるんだけど、何をどう書いたらいいのかもわからなくて。
上司からすると練習させるためにいろいろと仕事をさせてくれようとしていたんだと思うんですが、私の中では「どうしよう」という不安や焦りばっかりが募っていって。そのうち、「コピーライターという仕事はやりたいと思っていたけど、そうじゃなかったのかも・・・」と思うようになっちゃったんです。だんだん自分自身に対して失望していっちゃって。
スタッフA:うわーっ、スゴクよくわかる。今まで好きに書いていたのと、いろいろな規制の中で書くのとは違いますもんね。どう書いたらいいかわからないって、私も最初はそう思って悩みましたよ。
S.O:私自身、いきなりの現実に追い詰められてしまって身動きできなくなっていたんです。そこで社長に「今の状況ではやっていく自信がないので、4月まで待ってもらえませんか?」とお願いしたんです。しかし社長からは「この仕事は次から次へとやってくるし、しかもなりたい人間も次から次へとくる。4月まで待ったら何が変わるの?」って言われてね。
確かに言う通りなんですが、私としては残りの学校生活も送っておきたいという気持ちがあったし、他にアルバイトをしているところもあったので、そっちのけじめもつけたいと思っていたし。それに何より自信をなくしていましたね。
スタッフA:最初に心の整理がつかず、学生の気持ちのままで会社に入っちゃったことがまずかったんでしょうね。
S.O:結局、私も絶対に戻るという自信がなかったので、その会社を諦めることにしたんです。
あれだけやりたいって思っていた仕事なのにそれすらできない、やる気がないなんて・・・私は社会人としてもやっていけないんじゃないかって。どんな仕事に就いても無理なんじゃないかってその時は思いましたね。

スタッフA:一種のミスマッチということになるのかなぁ。仕事に対してもそうだし、自分自身が思い描いていたものに対しても。実践で鍛えられる人もいるでしょうけれど、順序を踏みながら成長していく人もいますから。
S.O:それから就職活動を再開して、しばらくして大学に卒業証明書をもらいに行った際に、就職部の方からスタッフAさんと働いていた会社の求人の話を聞いたんです。最初は目指していたコピーライターの仕事ではないしどうしようかと悩んでいたんですが、卒業してから無職だったのでとりあえず働かなきゃという思いもあって、それで受けてみたんですよ。
スタッフA:それでうちの会社に入ったわけですね。でも、制作の仕事じゃなかったけど、それはかまわなかったのかな?
S.O:会社の事業については詳しく知らなかったけれど、広告の中でも就職という分野についていろいろやっている会社だってことはわかってました。とりあえず、自分が目指していた広告業界の中に入っているんだから、たとえ制作の仕事じゃなくても、全く別の分野の業種に行くよりいいと思って。それにもし制作の仕事に就けたとしても、コピーなんて自分には書けるんだろうかって思っていましたから。
実際に会社に入ると、わかっていたことだけれどやりたかった仕事とは全く違うもので。自分では、もうやりたかった仕事には戻れないかもしれないなってって思っていました。自分から夢を手放してしまった感はありましたね。

スタッフA:S.Oさんの中では自信はなくしていたけれど、心の中ではまだやりたい仕事という憧れがあったんですね。ところで、昔からコピーライターになりたいと思っていたんです?
S.O:本の帯にあるようなコピーなどが昔から好きで、短い言葉で伝えるということに興味があったんです。他にも、映画もあまり観ないんですが予告だけは好きだったり。その言葉の響き、音感に良さを感じたりしていたんです。それに人の思っていることや考えていることを短い言葉で代弁してあげる、ということに興味があったんですよ。
しかし、そういうことを自分でも書きたいと思っていたけれど、どうやったらその職業になれるのかわからなくて。そんなときにコピーライター養成講座なるものがあることを知って、「これだ!!」って。コピーライターになればそういう仕事ができるんだってわかったんです。
スタッフA:なるほど。本の装丁や帯も映画の予告も、誰かの主張を代わりに伝えているものですね。しかし、実際はコピーライターの夢を諦めて全く違う仕事に就くことになって。結局4年半ぐらい働くことになるんですけど、その間にどう気持ちが変わっていったのかしら?
S.O:今から振り返ってみると・・・。自分がやりたいこと、つまりコピーライターの仕事はとても難しいと考えていて。同時に、自分がやりたいと思っていなかった現在の仕事はしっかりやれて当たり前だっていう思いがありました。
自分の中ではコピーライターがもの凄くハードルの高い仕事だと感じていたけれど、目の前の作業もしっかりできないなんて、コピーどころじゃないって思うようになったんです。もちろん、その仕事も重要なものであり、神経を使うものでしたけれど。
そんなこともあって、周りの人に対しても「実はコピーライターをやりたい」ということが言えなくなってしまったんです。
スタッフA:すごくまじめに考え過ぎちゃっていたんですね。最初にコピーライターの仕事でのつまずきが、ずっと響いちゃって。それでとりあえず今ある仕事を自分で納得できるまで頑張ろうと?
S.O:ただ、心の中では、たとえ今の仕事が完璧にこなせるようになったとしても、自分は嬉しくないだろうなって思っていました。偉そうに言っちゃっているけれど、その時の自分の仕事は完璧さとかけ離れているし、できていないことはわかっているんですけれどね。仕事ができるようになっても満足しないんだろうなって思いましたね。
スタッフA:それは自分が本当にやりたい仕事ではないからってことですよね。S.Oさんの中では、どんどんコピーライターの仕事へのハードルが高くなってしまって、超えたいけど、超えられない(と思っている)。
現状も素直に受け入れられない、でもやりたいことは自分の能力よりずっと上にあるものって。ある意味、仕事に対してものすごく真面目に考えていた結果なんだろうね。やりたい仕事という想いが強すぎて、逆に手を出せないような感じかな。
S.O:そうやって自分の中では納得しきれなかったけれど、今ある仕事をちゃんとやろうと。きっとコピーを書く情熱はきっとまた出てくるだろうと、それを信じて待っていようと思ったんです。もし情熱が復活しなかったらこのままかもしれないけれど、きっとまたコピーライターになりたいっていう情熱が沸いてくるだろうなって、自分では信じていたんです。
そんなとき、コピーライター養成講座に通っていた時の先輩が会社を辞めることになって、自分の後を引き継いでくれる人を探しているという話を聞いたんです。それで詳しく話をさせてもらってね。先輩の話を聞いていると、眠っていたワクワク感が蘇ってきたんです。それが自分でも嬉しくて。先輩も前向きに考えてみてくれないかと話してくれて。
しかし、そのときは当時やっていた仕事も中途半端な部分があったし、先の予定も入っていて区切りの良いところまでやろうと思っていたので、先輩のお話はお断りしたんです。コピーライターという仕事に自信がなかったのもありましたし、決心がつかなかったのでね。
ところが、年が明けてからまたその先輩からもう一度打診されて。2度もコピーライターの話が舞い込むなんて、さすがに私もそれは受けるしかないだろうと。それに区切りの良い年内までは今の仕事を頑張ろうと決めてやってきたけれど、その年も終わって新しい年を迎えたわけだしね。そこから辞めるという意志を周りに伝えていったんです。

スタッフA:そんな紆余曲折を経て念願の仕事に就いたわけですが、大学生で内定をもらったときと仕事の受け止め方も違うと思うんですが、どうですか?
S.O:うーん。。。「きっとこの仕事がやりたかったんだ」とは思いますが、それも学生の時に憧れの気持ちで想っていたときと変わってないような気もするし。
ただ、実際に実務をやっていくと、納期もあるし“自分のやりたい”だけでは通用しないことも多いですよね。もっと追求したいけれど、妥協しなくてはならないこともあるし。しかし、学生時代に勉強していたのは、もっと追求して追求して生まれたコピーを書くことだったりして。想像と実務におけるズレは感じました。
スタッフA:そのズレこそ趣味と仕事と決定的に違う部分ですね。お金をもらって限られた期限の中で仕事をしている以上、その状況でベストのものを作り続けていくしかない。自分が納得できるかどうかだけではないですね。
最後に、仕事ってなんだんだろうね。
S.O:しなくちゃいけないもの・・・。私の中では、仕事はしたいもの、という感じではなかったですね。「私は仕事をしていかなくちゃいけないのかもしれない」というか。本心では何もやりたくない、という気持ちがあって。でもその中でちょっとやりたいことがあって、それをやってみたい、それが仕事であればいいかな、と考えていたんです。
スタッフA:仕事って、それをすることによって対価を得ることができるから仕事になるんだと思うけれど、お金ではないもので、仕事によって何を得たと思う?これまでのS.Oさんの話を聞いていると、「自信と不安」というイメージが浮かぶんだけれど。
S.O:そうですねぇ、両極端なものがあるような気はしますね。「自信と不安」もその一つかもしれないし、何もやりたくないという気持ちとやってみたいという気持ちとか。何がそんなに不安なのかなって、自分でも思うんですけどね。
スタッフA:やったことに対して、できたという喜びもあるけれど、逆に例えば仕事でうまく言葉が出てこない、納得しきれないところで仕事としておさめないといけないという葛藤もあるし。そういうがっかりした気持ちもあるだろうし。自信と同じだけ不安や自分自身に対してがっかりするような気持ちがあるっていうことですね。
不安なく前へ前へ突き進んでいける人もいるけれど、不安な気持ちがあってもいいと思うんですよね。不安なままでいるのがイヤだったら不安にならないようにアクションをおこせばいいし。それが人より働くことだったり、勉強することだったりするんだろうし。自信にみなぎっていてそこにあぐらをかいちゃうより不安でいる方がまだ将来に伸びる可能性があると思うな。ただ、不安だってそのまま何もしないまま不安な気持ちに悩まされるのは良くないと思いますけれどね。

とても正直に自分の気持ちを話してくれたS.Oさん。仕事の話を聞くという展開から、就活での挫折、自分の夢と現実とのギャップなど、やりたい仕事を求める人が直面しそうな話へと変わっていきました。やりたいことをやるのが一番、やりたい仕事がしたい。確かにそれも正解なのですが、S.Oさんの話を聞いているとそれだけでいいのかな?ということも感じました。ただひとつ言えるのは、諦めないことでつかめるものがあるっていうことを、S.Oさんが教えてくれたのではないでしょうか。
スタッフA:一緒に会社で働いていたときは部署が違っていたのであんまり話す機会がなかったんだけれど、転職するって聞いたときは驚いたし、しかもコピーライターになるって聞いてもっと驚いたんですよ。「えーっ、制作に興味があったの?」って。S.Oさんはどんな経緯で会社に入ったんですか?
S.O:大学で就職活動していたときは内定をもらっていた会社(デザイン事務所)があったんです。11月ぐらいに内定をもらったんですけど、その企業からアルバイトでいいからすぐに来てくれって言われてアルバイトに行っていたんですけど・・・。でも、ホンネは内定が決まるまで長いこと苦労したし、ようやく決まったからちょっとホッとしていたいなと思っていたんです。
しかし内定先の会社からはすぐに来いって言われるし。そしてアルバイトに行ったら行ったで、要領もよくわからないし、何をしたらいいのかわからないし。混乱した状態でどうしたらよいのか自分でもわからなくなってしまって。。。
自分がやりたいと思って入った会社の仕事なのに、この時点で行きたくないっていう想いがすごく強くなったんですよ。上司から「これを考えきて」と、仕事を渡されるんだけど、何をどう書いたらいいのかもわからなくて。
上司からすると練習させるためにいろいろと仕事をさせてくれようとしていたんだと思うんですが、私の中では「どうしよう」という不安や焦りばっかりが募っていって。そのうち、「コピーライターという仕事はやりたいと思っていたけど、そうじゃなかったのかも・・・」と思うようになっちゃったんです。だんだん自分自身に対して失望していっちゃって。
スタッフA:うわーっ、スゴクよくわかる。今まで好きに書いていたのと、いろいろな規制の中で書くのとは違いますもんね。どう書いたらいいかわからないって、私も最初はそう思って悩みましたよ。
S.O:私自身、いきなりの現実に追い詰められてしまって身動きできなくなっていたんです。そこで社長に「今の状況ではやっていく自信がないので、4月まで待ってもらえませんか?」とお願いしたんです。しかし社長からは「この仕事は次から次へとやってくるし、しかもなりたい人間も次から次へとくる。4月まで待ったら何が変わるの?」って言われてね。
確かに言う通りなんですが、私としては残りの学校生活も送っておきたいという気持ちがあったし、他にアルバイトをしているところもあったので、そっちのけじめもつけたいと思っていたし。それに何より自信をなくしていましたね。
スタッフA:最初に心の整理がつかず、学生の気持ちのままで会社に入っちゃったことがまずかったんでしょうね。
S.O:結局、私も絶対に戻るという自信がなかったので、その会社を諦めることにしたんです。
あれだけやりたいって思っていた仕事なのにそれすらできない、やる気がないなんて・・・私は社会人としてもやっていけないんじゃないかって。どんな仕事に就いても無理なんじゃないかってその時は思いましたね。

スタッフA:一種のミスマッチということになるのかなぁ。仕事に対してもそうだし、自分自身が思い描いていたものに対しても。実践で鍛えられる人もいるでしょうけれど、順序を踏みながら成長していく人もいますから。
S.O:それから就職活動を再開して、しばらくして大学に卒業証明書をもらいに行った際に、就職部の方からスタッフAさんと働いていた会社の求人の話を聞いたんです。最初は目指していたコピーライターの仕事ではないしどうしようかと悩んでいたんですが、卒業してから無職だったのでとりあえず働かなきゃという思いもあって、それで受けてみたんですよ。
スタッフA:それでうちの会社に入ったわけですね。でも、制作の仕事じゃなかったけど、それはかまわなかったのかな?
S.O:会社の事業については詳しく知らなかったけれど、広告の中でも就職という分野についていろいろやっている会社だってことはわかってました。とりあえず、自分が目指していた広告業界の中に入っているんだから、たとえ制作の仕事じゃなくても、全く別の分野の業種に行くよりいいと思って。それにもし制作の仕事に就けたとしても、コピーなんて自分には書けるんだろうかって思っていましたから。
実際に会社に入ると、わかっていたことだけれどやりたかった仕事とは全く違うもので。自分では、もうやりたかった仕事には戻れないかもしれないなってって思っていました。自分から夢を手放してしまった感はありましたね。

スタッフA:S.Oさんの中では自信はなくしていたけれど、心の中ではまだやりたい仕事という憧れがあったんですね。ところで、昔からコピーライターになりたいと思っていたんです?
S.O:本の帯にあるようなコピーなどが昔から好きで、短い言葉で伝えるということに興味があったんです。他にも、映画もあまり観ないんですが予告だけは好きだったり。その言葉の響き、音感に良さを感じたりしていたんです。それに人の思っていることや考えていることを短い言葉で代弁してあげる、ということに興味があったんですよ。
しかし、そういうことを自分でも書きたいと思っていたけれど、どうやったらその職業になれるのかわからなくて。そんなときにコピーライター養成講座なるものがあることを知って、「これだ!!」って。コピーライターになればそういう仕事ができるんだってわかったんです。
スタッフA:なるほど。本の装丁や帯も映画の予告も、誰かの主張を代わりに伝えているものですね。しかし、実際はコピーライターの夢を諦めて全く違う仕事に就くことになって。結局4年半ぐらい働くことになるんですけど、その間にどう気持ちが変わっていったのかしら?
S.O:今から振り返ってみると・・・。自分がやりたいこと、つまりコピーライターの仕事はとても難しいと考えていて。同時に、自分がやりたいと思っていなかった現在の仕事はしっかりやれて当たり前だっていう思いがありました。
自分の中ではコピーライターがもの凄くハードルの高い仕事だと感じていたけれど、目の前の作業もしっかりできないなんて、コピーどころじゃないって思うようになったんです。もちろん、その仕事も重要なものであり、神経を使うものでしたけれど。
そんなこともあって、周りの人に対しても「実はコピーライターをやりたい」ということが言えなくなってしまったんです。
スタッフA:すごくまじめに考え過ぎちゃっていたんですね。最初にコピーライターの仕事でのつまずきが、ずっと響いちゃって。それでとりあえず今ある仕事を自分で納得できるまで頑張ろうと?
S.O:ただ、心の中では、たとえ今の仕事が完璧にこなせるようになったとしても、自分は嬉しくないだろうなって思っていました。偉そうに言っちゃっているけれど、その時の自分の仕事は完璧さとかけ離れているし、できていないことはわかっているんですけれどね。仕事ができるようになっても満足しないんだろうなって思いましたね。
スタッフA:それは自分が本当にやりたい仕事ではないからってことですよね。S.Oさんの中では、どんどんコピーライターの仕事へのハードルが高くなってしまって、超えたいけど、超えられない(と思っている)。
現状も素直に受け入れられない、でもやりたいことは自分の能力よりずっと上にあるものって。ある意味、仕事に対してものすごく真面目に考えていた結果なんだろうね。やりたい仕事という想いが強すぎて、逆に手を出せないような感じかな。
S.O:そうやって自分の中では納得しきれなかったけれど、今ある仕事をちゃんとやろうと。きっとコピーを書く情熱はきっとまた出てくるだろうと、それを信じて待っていようと思ったんです。もし情熱が復活しなかったらこのままかもしれないけれど、きっとまたコピーライターになりたいっていう情熱が沸いてくるだろうなって、自分では信じていたんです。
そんなとき、コピーライター養成講座に通っていた時の先輩が会社を辞めることになって、自分の後を引き継いでくれる人を探しているという話を聞いたんです。それで詳しく話をさせてもらってね。先輩の話を聞いていると、眠っていたワクワク感が蘇ってきたんです。それが自分でも嬉しくて。先輩も前向きに考えてみてくれないかと話してくれて。
しかし、そのときは当時やっていた仕事も中途半端な部分があったし、先の予定も入っていて区切りの良いところまでやろうと思っていたので、先輩のお話はお断りしたんです。コピーライターという仕事に自信がなかったのもありましたし、決心がつかなかったのでね。
ところが、年が明けてからまたその先輩からもう一度打診されて。2度もコピーライターの話が舞い込むなんて、さすがに私もそれは受けるしかないだろうと。それに区切りの良い年内までは今の仕事を頑張ろうと決めてやってきたけれど、その年も終わって新しい年を迎えたわけだしね。そこから辞めるという意志を周りに伝えていったんです。

スタッフA:そんな紆余曲折を経て念願の仕事に就いたわけですが、大学生で内定をもらったときと仕事の受け止め方も違うと思うんですが、どうですか?
S.O:うーん。。。「きっとこの仕事がやりたかったんだ」とは思いますが、それも学生の時に憧れの気持ちで想っていたときと変わってないような気もするし。
ただ、実際に実務をやっていくと、納期もあるし“自分のやりたい”だけでは通用しないことも多いですよね。もっと追求したいけれど、妥協しなくてはならないこともあるし。しかし、学生時代に勉強していたのは、もっと追求して追求して生まれたコピーを書くことだったりして。想像と実務におけるズレは感じました。
スタッフA:そのズレこそ趣味と仕事と決定的に違う部分ですね。お金をもらって限られた期限の中で仕事をしている以上、その状況でベストのものを作り続けていくしかない。自分が納得できるかどうかだけではないですね。
最後に、仕事ってなんだんだろうね。
S.O:しなくちゃいけないもの・・・。私の中では、仕事はしたいもの、という感じではなかったですね。「私は仕事をしていかなくちゃいけないのかもしれない」というか。本心では何もやりたくない、という気持ちがあって。でもその中でちょっとやりたいことがあって、それをやってみたい、それが仕事であればいいかな、と考えていたんです。
スタッフA:仕事って、それをすることによって対価を得ることができるから仕事になるんだと思うけれど、お金ではないもので、仕事によって何を得たと思う?これまでのS.Oさんの話を聞いていると、「自信と不安」というイメージが浮かぶんだけれど。
S.O:そうですねぇ、両極端なものがあるような気はしますね。「自信と不安」もその一つかもしれないし、何もやりたくないという気持ちとやってみたいという気持ちとか。何がそんなに不安なのかなって、自分でも思うんですけどね。
スタッフA:やったことに対して、できたという喜びもあるけれど、逆に例えば仕事でうまく言葉が出てこない、納得しきれないところで仕事としておさめないといけないという葛藤もあるし。そういうがっかりした気持ちもあるだろうし。自信と同じだけ不安や自分自身に対してがっかりするような気持ちがあるっていうことですね。
不安なく前へ前へ突き進んでいける人もいるけれど、不安な気持ちがあってもいいと思うんですよね。不安なままでいるのがイヤだったら不安にならないようにアクションをおこせばいいし。それが人より働くことだったり、勉強することだったりするんだろうし。自信にみなぎっていてそこにあぐらをかいちゃうより不安でいる方がまだ将来に伸びる可能性があると思うな。ただ、不安だってそのまま何もしないまま不安な気持ちに悩まされるのは良くないと思いますけれどね。

とても正直に自分の気持ちを話してくれたS.Oさん。仕事の話を聞くという展開から、就活での挫折、自分の夢と現実とのギャップなど、やりたい仕事を求める人が直面しそうな話へと変わっていきました。やりたいことをやるのが一番、やりたい仕事がしたい。確かにそれも正解なのですが、S.Oさんの話を聞いているとそれだけでいいのかな?ということも感じました。ただひとつ言えるのは、諦めないことでつかめるものがあるっていうことを、S.Oさんが教えてくれたのではないでしょうか。


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