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vol.22 保育士という仕事


一度離れて改めて、
その仕事の楽しさ、大変さ、そしてやりがいを知った保育士の話

【インタビュー】
 M.Mさん

今回は、「vol.2 シェフという仕事・レストランという仕事」で登場していただいた青木環さんのご紹介で、保育士のM.Mさんの登場です。女性の人気の高い仕事ですが、最近は男性の保育士さんも増えていますね。男女問わず子供が好き、子供と接する仕事がしたいと考える人も多いのではないでしょうか。それでは保育士という仕事の実情に迫ってまいります。どうぞ!


─イベントを子供たちにさせるのは楽しいんですけれど、もっとのんびりとした環境で子供たちに接したい─

■Mさんは学校で資格を取られてから保育士の道に進んだのですか?

M.M:短大を卒業してから、2年ほど幼稚園で働いて、そして今の保育園で働いています。

幼稚園と保育園って同じように思われるかもしれませんが、預かる年齢が幼稚園は3歳からで、保育園は0歳からなんです。それに幼稚園は保護者が働いてなくても預かりますが、保育園の場合は預かる子供のほとんどの保護者が働いています。幼稚園は早くに子供たちが帰るんですが、保育園は働いているお母さんたちが迎えにくるまで預かりますから、勤務時間は長くなりますね。

■勤務時間が長くなればそれだけ仕事も大変かと思いますが、どうして幼稚園から保育園での仕事に変わられたんでしょう?

M.M:まず、私は短大を卒業して就職した幼稚園が実習で行っていた幼稚園でして、他の幼稚園がどんな感じなのかわからないまま就職したんです。実習に行っていたので、園長先生や他の先生もよく知っていましたし、子供たちはとっても可愛いし。それに実習に行っていたから受かりやすいかなと思って(笑)。そんな軽い気持ちで入ったんですよ。

しかし、私自身は、幼稚園に来る子供たちよりもっと小さい子供と接したいと思ってまして。それが最大の理由で保育園に転職することにしたんです。

■まずは幼稚園でのお仕事について伺っていきたいのですが、預かるお子さんの年齢や保護者の環境は保育園と事情が異なりますが、お仕事については違いはあるんですか?

M.M:特に私立の幼稚園は育児や教育に熱心な保護者の方が多く、幼稚園でも運動会や音楽会などいろいろなイベントを子供たちにさせるんです。それはそれで楽しいんですけれど、もっとのんびりとした環境で子供たちに接したいと思うようになったんですね。

それに当時は私も短大を卒業して20歳くらいですから経験も不足しているし、まわりも若い先生が多くて、元気なお母さんたちに対応するのは、大変なこともありましたね。そういうこともあって、一度保育士という仕事も含めリセットしようという想いもあって、幼稚園を辞めることにしたんです。

その時京都で働いていたんですが、もっと都会の大阪で働きたいという想いがあったんです。それまではTシャツにジーパンのようなスタイルで通勤していたんですが、OLさんのように可愛い服を着て電車に乗って通勤するといったようにキレイにしていたいと思って。

辞めてからコンタクトレンズのお店で販売のアルバイトをしていたんですよ。しかしやってみたら販売の仕事が自分に合わなかったんです。こじんまりしたお店でしたので、店員さんがたくさんいるわけでもないし、お客さんが頻繁にくるわけでもなくて。お客さんが来るまでじーっと待っているわけです。

幼稚園の仕事というのは子供と接しながら次から次へとあれをしなくちゃいけない、これをしなくちゃいけないって。それだから幼稚園の仕事って時間の経つのが早いんですよ。しかし販売の仕事は何もしないでじーっとしているだけの時間がしんどいって思えて。

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─一緒に絵を描いたり、折り紙したりで接してしると「お姉ちゃん、お姉ちゃん」ってなついてくるでしょ。私も、もしかして向いているかもって(笑)─

■小さいお子さんをみたい、という理由が幼稚園を辞められた理由の一つと伺いましたが、小さい子を見たいというのは何かきっかけや理由があるんですか?

M.M:私には妹がいるんですが、10歳離れているんですよ。ちょうど私が中学校に入学したときに妹が幼稚園に入って、私がお迎えに行ったり、幼稚園の仲良しグループの子供たちが家に来たときなんかはお母さんたちはお茶していて、私が子供たちの世話をしたりして。

なかなか大人数の小さい子供たちと関わる機会ってないと思うんですが、一緒に絵を描いたり、折り紙したりで接してしると「お姉ちゃん、お姉ちゃん」ってなついてくるでしょ。私も、もしかして向いているかもって(笑)。なついてくると、やっぱり可愛いって想うし、妹は10歳離れていても、ムカついたりケンカをすることもあるんだけれど、妹の友達の世話はいやじゃなかったですね。

高校に入り、進学を考えたときに自分は何をしたいのかなって考えたら、小さい子と接して面倒を見る仕事がしたいなって、真剣に考えるようになりました。だから、保育士を目指すきっかけは妹ですね(笑)。

■なるほど、妹さんの存在が小さい子供と接する仕事がしたいという想いにつながっているわけですね。では幼稚園を辞めて、現在働いていらっしゃる保育園にはどうして決められたんですか?

M.M:まずは職安に行っていろいろ調べていたんですが、その中で乳児だけの保育園がありまして見学に行かせてもらったんです。そうしたら私は幼稚園の経験者ですし優遇してもらえるというお話ですぐに働くことができますよと。

その時、販売の仕事のアルバイトをしていたわけですが、正社員でなくアルバイトでやっていくことがすごく不安だったんです。販売の仕事が楽しいわけではなかったし、お給料だってたくさんもらえるわけじゃない。これから先のことを考えたら、不安定な状況にすごい不安になっていたんです。

またお店に子供がやってきたりすると、すごく可愛いと思うし、やっぱり自分には販売よりこっち(保育士)の仕事の方が向いているんじゃないかと。それに今からやったことがない分野に飛び込もうという勇気もありませんでしたね。

そうやって保育園側からも来て欲しいと言ってくれましたし、建物もきれいで働きやすい環境のようでしたし、私自身もすぐに正社員として働きたいという気持ちでしたから、その保育園で働くことに決めたんです。それが今の保育園なんです。

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─大きな子供になると、言葉をかければ言葉で返してくれるし、何かをしてあげたらその分一生懸命何かを返そうとしてくれる─

■Mさんの念願だった保育園で働くことができるようになったわけですが、実際に働いてみていかがでしたか?

M.M:その保育園というのは大きなところで、私がみた乳児ばかりの施設ははその一部にすぎなくて、全体としては幼稚園に近い保育園だったんですよ。結局、私は幼稚園経験者ということで、乳児を担当するのではなく大きな子供を受け持つ仕事に就くことになったんです。だからこれまでやっていた仕事とそんなに変わりはなかったんです。

今まで幼稚園の積極的に子供たちに何かをさせていくという方針が自分の理想とズレがあったんですが、それでも一度経験しているので要領がわかっているということもあったし、それはそれで良いところがあったと思えるようになっていました。それに今思えば、乳児よりある程度大きい子供たちと接するほうが向いているのかなって思いますね。

■乳児より大きい子供たちと接する方が向いているというのは、どのあたりがそう思われるんですか?

M.M:2歳ぐらいの子供に接したことがあるんですけれど、こちらが何かをしても反応が返ってこないんですよね(苦笑)。保育園にいる時間が長いので、小さい子供だと今日はこんな言葉を話したとか、成長の記録を実感する喜びはあるんですけれども。

しかし大きな子供になると、言葉をかければ言葉で返してくれるし、何かをしてあげたらその分一生懸命何かを返そうとしてくれるし。例えば、逆上がりを教えたら、できなくても必死に練習してできるように頑張ってくれたりね。5歳児ぐらいになるとしっかりしてくるので、テレビのことなどを教えてくれたりとか会話が成り立つんですよ。

それに小さい子供は手がかかるので数人でみるんですけれど、みんながやりたいことと自分がやりたいことが違うときもあるんですよね。先生同士で話し合ってやればいいんでしょうけれど・・・一人でやりたいって(笑)。

■保育士さんそれぞれに考え方があるでしょうから、それがうまくかみあわないこともあるんでしょうね。

M.M:今は5歳児を受け持っていて、一人でやっているのでやりたいようにやらせてもらっています。行事についても幼稚園の頃はやらせて、やらせて、と大変だと思っていましたけれど、今はバランスを考えながら自分で決めることができますから。

学校を卒業して20歳で幼稚園に入って、実習したり勉強はしていたけれど、実際にやってみるとわからないことばかりで。そんな状態でいろいろとやならなくてはならないのがしんどいと思っていましたが、それが自分でコントロールできるようになった今は、行事にしても仕事にしても楽しいと思えるようになりましたね。

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─教えながら自分でも人間にとって大切なことを改めて考える機会になっているんです─

■私はかつてアルバイトでスイミングスクールのインストラクターをしていて、3〜5歳児まで教えていた経験があるんですが、その時も子供と接する仕事は大変だなぁと思ったんですが、腕白ざかりの子供たちと接するのは楽しい反面、しんどくはありませんか?

M.M:子供たちからすると、幼稚園や保育園の先生というのは“絶対”というイメージがあるみたいなんです。家で食べ物の好き嫌いを注意しても治らないのが、幼稚園や保育園の先生が「食べなさい!」って怒ると食べるし。同じ注意したり怒ったりするにしても保護者とはまた違う存在なんですね。それは一緒にいる時間が長くて子供との間に信頼関係ができていたり、もちあがりで何年間かいっしょに接してきたことの安心感もあるのかもしれませんが。

■子供にとっては親は親でしかないけれど、保育士というのは先生でありながら時には親で、時には兄弟で、時には友達にもなれるんですよね。保育士さんというのは子供との関係づくりもありますが、それ以外にも保護者であるお母さんたちとの関係づくりも苦労される点だと思いますが。

M.M:やはり人間なので、合う合わないというのは正直あると思います。たとえ合わないからといって対応しないわけにはいきませんからね。

昔は保護者と先生というのはそれぞれの立場をふまえた関係づくりができていたように思いますが、最近は先生が保護者にサービスをするといった傾向がありますね。それ故に保護者側からの要求が強まってきて。だからよけいに良好な関係を作るのが大変になっているのかもしれません。だから子供が好きという想いはもちろん大切ですけれど、それだけでは続けることが難しいかもしれませんね。

■それではMさんにとって“仕事”ってなんでしょう?“仕事”を通じていろいろなものが得られると思いますけれど、何を得ることができましたか?

M.M:私の場合、今ある自分のすべてだと思いますね。人間関係もそうだし、そのひとつが保護者への対応の仕方だったり。子供たちを通じてだと、まだ子供たちの間にはいじめとかそういうことってないんですよ。純粋でね。私も「お友達を大切にしなさい」とか「みんなと協力しなさい」とか教えるんですけれど、教えながら自分でも人間にとって大切なことを改めて考える機会になっているんです。

自分が大人になって歳を重ねてくると、友達との関係も少しずつ変化したり距離を置いたりすることがあるけれど、大切なことは何かを思い出させてくれたり、或いは親との関係をもう一度見直してみたりとか。そういうことは子供たちと接する中で考えるようになりましたね。

他の仕事よりこの仕事は人との関わり方が濃いと言えるかもしれません。人として必要なこと、大切なことを私たちが教えるのだから、自分でもすごい仕事だなって思います。


【取材後記】
今でも保育士さんというのは人気のある職業のようで、学生のみなさんの中には将来は保育士になりたいと思っている人もいらっしゃるでしょうから、現役の保育士さんの仕事への取り組み方って参考になるものがあるのではないかと思います。私も小さい頃、保育園に通っていたので、今でも当時の保育士さんのことは覚えてます。考えてみると卒園して何十年も経っているのに、すごいことだと思いませんか?今頃先生はどうしているかな、そんなことを想いながらの取材なのでした。

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Author : 編集スタッフA

普段は学情ナビ編集部員をやってます。今回、会社を飛び出して、友人、知人、いろいろなツテをたよってさまざまな職業の人に“はたらき方”をインタビュー!カタログのように次々とBLOGで紹介していく予定です!!



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